婦人科疾患の話

  女性には思春期・妊娠・産後・更年期など身体が大きく変化する時期が何度か訪れますので、それだけ体調を崩す要因も多いことから婦人科疾患は医療の中でも大きな意味を持ちます。大きな声では相談しにくい人と正確な知識のためにいくつかまとめてみました。

  その前に余談で性別差についてですが、発生学的にいうと雌の方が早く登場していて雄は大きなパワーを出すように基本構造を変化させたものだとされています。ですから、女性には婦人科疾患はあっても幼少期や老年期は男性よりも強くて長寿になるのでしょう。(男は働かされるだけで損やね:筆者)

 

『血の道症』

  「血の道症」と聞いてうなずく人も多いでしょう。婦人科疾患の原因のほとんどは生理に関係ありますから、漢方で言う「血の道症」だと言っても過言ではありません。ニュアンスはかなり違いますが、要するに血液の純度が不調で障害が発生していると思っていただいて結構でしょう。代表的な症状は、カーッとのぼせるように熱くなってから突然にスーッと冷えて悪寒がします(ある先生はこれを「カースー病」と呼んでいますが血の道と言えば済むことなんですがね)。よくあるケースですが更年期障害の女性が冬にも係わらず突然赤い顔で汗をかいていたかと思うと次には青くなって震えていたりするのがこれなのです(本人は必死なんですから周りは笑わないように)。ちなみに正確な医学用語は「ホットフラッシュ」現象となります。

  出産によって血の道症に陥ってしまう場合も多くあります。妊娠中毒を起こしたり異常出産はもちろんですが、最近では薬品使用による出産のコントロールで発生したと思われるケースもあります(出産時の薬品使用に関しては生命そのものを守る必要がある場合もあるので否定はできません)。急に肩こりなどの不定愁訴を訴えるようになったりうつ状態になったりするのがこれです。

 

具体的メカニズムと回復方法

  もう少し具体的メカニズムを説明します。血の道症はホルモンバランスの崩れだと言い換えてもいいでしょう。

  但し、ホルモンバランスが崩れていても自律神経が働いて体調を保っててくれます。ホルモンだけでは体温調整さえ出来ないところを監督しコントロールしていてくれるのです。ところが、神経も疲れて時々休憩してしまいます。このコントロールが外れた時にカーと熱くなってしまい、休憩を終えた神経が慌てて冷却スイッチを入れるのでスーッと寒くなるのです。これを回復させるにはホルモン剤を投与するなども考えられますが、やはり自分でホルモンを作れるように体質を改善する鍼灸治療が最も有効でしょう。

  また、漢方で言う悪血(おけつと読みます)が貯っているとも言い換えられます。悪血とは悪い血液という意味ではなく、不純な・働きの鈍った物質が身体から排泄されずに貯ったものだと考えてください。ですから、身体から排泄されないので肩こりになったり便秘やうつ状態になるのです。これを回復させるには悪血を排除するのですから西洋医学では大した方法はなく、むしろ自分で運動をする方が効果的です。もっと効果的なのは鍼灸治療によって悪血を自分で浄化させられるように体質を改善することです。

 

若年層に増える婦人科疾患

  このパンフレットで最も大切なことをここから書きます。失礼な表現ですが産後や壮年になってこれらの婦人科疾患が発生することはある意味では予定通りです。しかし、未婚の若年層に爆発的に増えていることは大問題です。

  雑談の中で「生理不順や生理痛が全く無い人は今や国宝級だ!」と無茶苦茶言われ開いた口が塞がりませんでした。本来は何もないのが正常なのです。痛み止めで済むからと放置して将来どうなるか予測が出来ません。偶然に症状が出る程度なら精神的なことも考えられますが、継続している場合には恥ずかしいかもしれませんが早期の治療が大切です。昔の人はほとんど生理痛や生理不順など言いませんでした(別に戦争だから言えなかったのではありません)。何故、変わってしまったのでしょうか?

  ハッキリした原因は不明ですが、昔に比べて極端に運動量が落ちてしまったことと食生活がインスタント食品全盛になり合成物質が身体に蓄積されるようになったからではないでしょうか?これを防ぐには適度な運動を欠かさず自然に近い食事に気を付けること、特に煙草は吸わないことですね。

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