実践!取穴ビデオ 総論
 このセクションでは五行穴・五要穴と本治法で用いられている経穴について、写真と部位表記に加えてストリーミングビデオを公開しています。また奇経治療のセクションもあります。これは 滋賀漢方鍼医会 発行の 『経絡治療の臨床研究 やさしい解説と実践取穴法』 を元に、相互補完できればと製作したものです。 = ビデオ製作に関するエピソード ブログより「実践!取穴ビデオと検校精神」

最初に敢えて苦言を!

 素人さんからは「鍼灸師ならツボが手に吸い付くように次々と捉えられるもの」と思われていますけど、実際にはそうではありませんよね。視覚障害者の管理人は、高校生から点字での勉学となっていたので「触る」という触覚訓練が自然にできており、初めて脉に触れた時には意味はさっぱり分かりませんでしたが脉の変化そのものは触知できました。しかし、取穴に関してはどこを触っても何も分からなかったのです。
 そんな時、先輩から指の圧力から当て方から動かし方を実技指導を受けたなら、正確に取穴するにはとても至りませんでしたけどツボの感覚というものが少し分かったのです。でも、一人で「生きて働いているツボ」を取穴できるようになるまでは何回も研修会で実技指導を受け、自分の身体などを使って繰り返しの修練が必要でした。
 つまり、本を片手にビデオを見ていれば取穴が誰でもできるようになるのではなく、あくまでも研修会の実技指導を保管する目的でこのセクションは製作したものです。実技指導を受けても覚え違いをしていたり、忘却という生涯最強のライバルに寄り切られないための補助資料なのです。正しい取穴を身につけるためには、必ず研修会へご参加ください。努力に応じて、正しい取穴ができるようになります。


軽擦をしている場面の写真

モデル点と生きて働いているツボについて

 人体とは生命体なのですから常に変動しているものであり、当然経絡も常に変動していれば経穴も教科書通りの一定の場所にあるものでもなければ状態によって役割が果たせる時と果たせない時が出てきます。つまり「生きて働いているツボ」が取穴できなければ意味がないのです。
 けれど、その教科書のツボがなかなか取れないのが現状であり、これを「モデル点」と称してこのセクションでビデオ解説しているのもモデル点です。そしてモデル点がまず取穴できたなら、次に「生きて働いているツボ」へ狙いを絞り、衛気の手法・営気の手法によって治療を進めていくのです。

「生きて働いているツボ」を取穴するには、軽擦が必須です

肘とは逆方向へ軽擦をしている写真  「生きて働いているツボ」を取穴するためには、治療で最も大切な『証』がまず決定できねばなりません。四診法の総合判断から証決定するのですが、術者が頭の中だけで決定したものでは本当に正しい証かどうかが分かりません。そこで擬似的に経絡を動かし反応を確認するために、まず患者さんの身体へ経絡の流注に従って軽擦を行います。これらの意義と意味については 院長ブログでの連載記事 で詳述していますので、こちらも読破ください。治療の鍵は証決定であり、決してテクニックに依存するものではないのです。
 さて選経から選穴までできたなら治療へと移るのですが、この段階まで来ていたならモデル点の把握さえしていれば実は「生きて働いているツボ」を指に触れることはそれほど難しくないのです。ここからはテクニックの段階ですので、研修会で先輩より実際の手ほどきを受けながら修練を繰り返してください。 軽擦のポイントと取穴法のビデオ   肘とは逆方向へ軽擦する時のポイントのビデオ


衛気の手法と営気の手法について

衛気の手法の写真   営気の手法の写真

 「生きて働いているツボ」が取穴できたなら、いよいよ鍼灸を施す段階となります。ところで案外このような発想をされていないことに実はビックリしたり教育されていないことに不思議を感じるのですけど、経絡を効率的に運用するために考え出された道具が鍼灸であり、外科術的な刺絡を除けば鍼の手法において扱えるものは「気」であり、気を動かすことこそが鍼を用いる唯一の意義なのです。
 衛気とは経脈の外を流れて護衛の役目をしている気のことであり、いわゆる「気」と表現している時には衛気のことを指しており「陽気」とも表現されています。営気とは経脈内を流れる気のことで津液とともに血の成分となっており「血中の陽気」とも表現されますが、陽気と比較すれば陰気ということになります。
 難経七十六難には「営気を補うことは瀉に通ずる」と明記されており、霊枢「九鍼十二原篇」に記されている補瀉の手法ではなく難経では衛気・営気の手法により補瀉の目的を達成させていることが分かり、漢方鍼医会の実技は衛気・営気の手法により行われています。

 衛気に対する手法はまず衛気の軽擦を行い、衛気に応ずる重さで押し手を構えて鍼はなるべく水平に近い状態で手技を行います 衛気の手法のビデオ。 営気に対する手法はまず営気の軽擦を行い、営気の重さで押し手を構えて鍼はなるべく垂直に近い状態で手技を行います 営気の手法のビデオ。

 ところで難経には「陽気を補うことは補であり、陰気を補うことは瀉である」と明記されていて、即ち衛気と営気に対する手法を用いることで治療は成立することとなり、漢方鍼医会の臨床は難経の説く手法より実践しているものなのです。
 標治法レベルですが、その病体が欲しているのは衛気なのか営気なのかを判定し施術することでさらに衛気・営気の手法が生かされるのですけど、ていしんを用いた例ですがどれほど人体に変化が現れるものかを客観的に評価していただけます。 ビデオ 臨床的刺鍼修練とその変化について。 また手法を施す時間にも大きな誤解があったようで、これも臨床的手法修練の延長から適切な手法時間の修練を客観的に行えるようになりました。 ビデオ 適切な手法の時間について

自己修練法と取穴のコツ

取穴位置を示した写真   事故修練法の写真

 実技は「手から手への指導」でなければならず、必ず研修会で手ほどきを受けて頂かねばならないのですけど、ポイントとなるべき箇所はビデオでもまとめることができます。
 まず押し手で取穴をするのですが、取穴した位置へ鍼が当たらなければ取穴をする意味そのものが吹き飛んでしまいますから「どの部位で取穴するのか」が重要です。また目的によって取穴方法が異なりますので、微妙に部位を変えておくと感覚も磨かれ混乱も少なくなります 取穴のコツのビデオ。
 取穴技術と同じくらい修練が必要な手技ですが、自らの身体があるのですから自分へ施術してみることが肝要です。それと押し手の重さについても、常に気を付けておかねばなりません 自己修練法のビデオ。

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