ストレッチ体操をしよう(No.1)

 「ストレッチ体操」のことはあまりに有名ですからほとんどの方がご存じでしょうが、医学もそうですがスポーツの世界でも考え方は日進月歩であり案外と古い知識、つまり発展途上であったり間違った知識そのままを引きずっているケースがあります。
 例えば現在でこそ「ウサギ跳び」で筋力アップをさせようという指導者はいなくなりましたが、過去には「ウサギ跳び」の足に掛かる負担が精神力も筋力も増強させるのだと長く信じられていたのです(生理学からすれば関節を傷めるだけの無茶そのものですね)。

 そこで「ストレッチ体操」について正しい知識と、やり方の例を写真付きで紹介します。写真の見えないスクリーンリーダーユーザーのことも考慮したユニバーサルな解説を目指したので多少説明文が長いですが、自分一人でできる股関節の整復法も掲載してあります。そのためにも必ず順番通りに奨めてください。どうしても説明文だけでは分からない時には、ごめんなさい視力を借りて写真を見てもらってください。


warming up(ウォーミング・アップ)

 ウォーミングアップ、つまり準備体操の重要性は誰もが知っていることです。寒い時にいきなり激しい運動をしたのでは筋肉を傷めるだけでなくケガの原因となるからです。
 しかし、暖かな時期では勢いに任せていきなり動いてしまう人を多く見かけます。 これは絶対にダメです。 ウォーミングアップの目的は単にケガをしないだけでなく、精神的緊張を高めて運動に適した心身へとモードを切り替えることなのです。

cooling down(クーリング・ダウン)

 クーリングダウンとは整理体操のことで、これも重要性はよく知られているのですが実際には毎回行っている人の方が遥かに少ないと思われます。けれど、運動を行うにはウォーミングアップよりむしろクーリングダウンの方が重要なのです。
 専門的に書けば、筋肉内に蓄積した疲労物質を代謝させ筋肉の熱を取って回復を早め、これと同時に心身をリラックスモードに戻して、運動結果を適正に評価させる働きがあります。これを一般的に書けば、他人にも自分にも迷惑をかけず楽しい思い出を残すための「締めのステップ」なのです

両手の指を組んで手のひらを外側に向け、腕を伸ばして右側に身体をひねった写真   両手の指を組んで手のひらを外側に向け、腕を伸ばして右側に身体をさらにひねった写真

stretch(ストレッチ)

 ストレッチを直訳すると「伸縮する」です。つまり、ストレッチ体操とは、ゆっくり大きく身体を伸ばしリラックスをさせることを主眼としています。
 ゆっくり大きく軽く痛みを感じる程度まで身体全体や関節を伸ばし、決して強く痛みをこらえてまでは伸ばしません。これは絶対条件ですから、「早く身体を柔らかくしたいから」と無理矢理引っ張らないでください。
 一つのステップは十秒から二十秒程度が目安です。同じステップを繰り返しても構いませんが、ステップとステップの間には深呼吸一回程度のリラックスタイムを設けて 連続にならないようにしてください。
 ゆっくり大きく伸ばすことは、東洋医学的に見ても経絡を引き延ばすことにつながり、「気」を巡らせるのにとても効果的な方法です。

bound stretch(バウンド・ストレッチ)

 ここで何か気付かれませんでしたか?そう、今まで広く紹介されてきたストレッチ体操では身体がリラックスしてしまうため整理体操ではその通りなのですが、準備体操として用いるには問題が生じます。
 準備体操で用いるにはバウンド(弾む)・ストレッチとします。上の写真で説明すると、左のように軽く伸ばした状態から右のように弾むようにさらに伸ばし、力を抜けば自然に左の状態へと戻りますからゆっくりこれを繰り返します。
 「えっ、それじゃ昔の柔軟体操と同じじゃないか」と言われそうですけど、弾むようにゆっくりと伸ばすのであって決して痛みをこらえながら強く強く無理して伸ばすのではありません。
 誰でも試合の前に気合いを入れようとしていたなら自然に反動を付けながら体を動かしているもので、身体を「目覚めさせるストレッチ」と説明すれば納得いただけるでしょうか?


 では、ここから先が具体的なストレッチ体操になります。上でも説明したように「これから身体を目覚めさせるぞ」という通常の場合はバウンド・ストレッチ (動的ストレッチ) で行ってください。身体から熱を取りリラックスを目的とする場合にはストレッチ (静的ストレッチ) で行ってください。

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