痛いところ』=

『悪いところ』じゃない!

  患者さんが来院されるときには「肩が痛いので」「膝が痛いので」と自分が痛みを感じているところに直接治療をしてくれるように頼まれます。しかし、当院のパンフレット『ひざ関節痛の話』にも書いてあるように痛い個所と実際に病が発生している個所(原因個所)が必ずしも一致しないことが多々あります。むしろ、その方が多いのです。

 

例えば、糖尿病や脳溢血の場合

  ご存じのように糖尿病とは膵臓が作り出すインシュリンの量が少なくなって血糖値が上がり喉が渇く・傷が治りにくい・各種の神経痛などが現れ、最も恐いのは視力低下(失明)です。身体のあちこちに症状が出るのでその部分も治療しなくてはなりませんが、糖尿病で最も大切なことはやっぱり食事療法ですね。本陣を回復させてやらなければ改善は有り得ないのです。

  また脳溢血とは出血をする脳内出血と脳内の血管が詰まる脳梗塞の総称です(要するに脳の発作のことです)。片麻痺(右または左の半身麻痺)・麻痺に伴う知覚障害・言語障害などが発生するので、特に身の回りの世話もできなくなってしまって寝た切りになってしまっては大変ですから生活習慣病(成人病)の警告を受けている人は節制を心がけてください。

  つまり、「症状のある部分」が即ち「本当に悪い(病気になっている)部分」ではないということです。但し、脳溢血による片麻痺だから手足のリハビリはやらなくてもいいと言っているのではありません。起こってしまったことは仕方がないのですから、直ちに回復に向けてのリハビリを開始する必要があります。リハビリによって脳も回復刺激を受けるのです。

 

ニワトリが先か卵が先か?

  ところで、当院のパンフレット「ひざ関節痛の話」では原因のほとんどは腰にあるだけでなく、直接膝にケガをしたとしても負担が掛かるので腰の治療も必ずしなければならないことを書きました。同様に肘や手首が痛い時には肩甲骨周囲の筋肉も治療しなければ治らない関係でも成立します。実際には手首や肘が痛いと言われても肩しか治療しないケースが大半です。

  前項でも「リハビリによって脳も回復刺激を受ける」と書いたように、ニワトリが先か卵が先かの無駄な議論よりも両方向から攻めなければ問題は解決しないことが人体ではよくあることなのです。

 

ついでに、自動車の構造で例えると

  それでも「もうちょっと納得できないなぁ」という人の為に、今度は自動車で説明をしてみましょう。

  自動車が故障して動かなくなった時にタイヤから調べるでしょうか?そんな馬鹿なことはしませんね。時には駆動系やタイヤのパンクなどもありますが、ほとんどの場合は実際に仕事をしているエンジンに原因があります。

  人体もこれと同じで、時には駆動系(血管や筋肉が切断されるなど)やタイヤのパンク(ケガや火傷)もありますが、ほとんどの場合は実際に仕事をしているエンジン部分である体幹、つまり心臓や消火器などの内蔵・肋骨や背柱などの骨・大胸筋や背筋などの筋肉に原因がある場合がほとんどで、手足の痛みや麻痺・冷えや火照り・変形であったとしても疾患部分だけでなく体幹部分の治療もしなければ絶対に治らないと宣言します!

 

  筆者も医療の道に入る前には「どうして遠隔部位だけで治るのだろう」と疑問でした。西洋医学は非常に優れたデータ収集と解析力により人類に多大なる貢献をしてくれましたが、部分に着目するあまりに「ニワトリが先か卵が先か」の理論に陥ってしまいました(木を見て森を観察していないということですね)。東洋医学は全体性の医学ですから原因分析には不向きかもしれませんが、『本当に悪い個所』を忘れていない医学なのです。

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