腰痛は、痛い時には、

温めるのがいいですか?

お風呂に入ってもいいですか?

 鍼灸院へ来院される方の半数以上は痛みを主訴とされるのですが、その中でも腰痛の頻度はかなり高いものです。軽いものであれば水泳やウォーキングなど運動をすることで解消をするケースもあるのですが、ほとんどのケースで骨や筋肉などに物理的な変化を伴っていますから数日で回復しなかったものは治療を受けて頂く以外に回復の手がありません。

 ところが忙しい現代人ですからまずは自己療法を考えるもので、一番手っ取り早いのは薬を飲むことです。しかし、内服薬で腰痛が軽減できる期待は少ないでしょうから次にきっとされていることは患部を温めることでしょう。

 

お風呂でスッキリ

 「節々が痛かったのですけどお風呂に入ったらスッキリしました」とか、「慣れない運動だったので筋肉痛になってしまいお風呂に入って何とかなりました」という実話を聞きます。

 これは先程も出てきたように筋肉痛であれば、お風呂へ入って頂き身体を温めてもらうことがとても有効となります。血行がよくなって体内に沈殿している老廃物が早く除去されるからです。つまり、運動不足だからと久しぶりに草野球で一日張り切ったお父さんが筋肉痛で苦しんでいる時には、けがさえしていなければゆっくりお風呂へ入っていただければいいのです。

 

お風呂で痛みが悪化!?

 ところで、お風呂へ入っても身体が冷めてきた頃からまた同じような痛みが戻ってきたり逆に痛みがひどくなるケースの方が多いものです。

 日本人は温泉を含めてお風呂大好きな民族なのですけど、いつでもお風呂が身体にいいとは限らないようです。「動けないほどのぎっくり腰ではなかったのに一晩経過したなら一人で立てなくなってしまって」と来院された方は、温めれば腰痛が解消するだろうとしっかりお風呂に入っていたケースがほとんどであり、「カイロで腰を温めているのに痛みが治らなくて」と訴えられる方にもどこか共通点がありそうですね。

 

痛みとは熱がこもっていること

 痛みを感じるという現象を解剖学的に説明すると、痛覚神経が刺激されて大脳へ信号が送られていることであり、大脳は身体に危険が発生しているということで警戒命令を出します。ですから、痛みを感じるということは決して悪い現象ではないのです。

 それでどのようにして痛覚神経が刺激されるかですが、一つは外部からの作用によります。例えばドアに指を挟むとかやけどをしてしまったなどであり、痛覚神経そのものが圧迫されたり損傷を受けた場合です。もう一つは内部からの作用であり腰痛もそうですし歯痛とか頭痛などです。体内の場合には痛覚神経に損傷はないのですけど炎症により膨れあがった細胞からの圧迫で刺激を受けます。

 炎症とは腫れているということであり、腫れているということは熱を持っているということです。激しい歯痛ならズキズキしている箇所が膨れあがり熱くなりますよね、打撲をした時には赤くなって腫れ上がった部分を冷やしますよね。古傷であっても痛みが強くなった時にはその部分だけが腫れて熱を持ちますから、痛むということは患部に熱がこもっているということなのです。

 

痛む時には、温めてはダメ!!

 ここまで説明してきたならこのパンフレットでの伝えたいことは分かっていただけたことでしょうけど、特に急激に痛みが発生してきた時には患部が腫れていて熱を持っているのですから温めてはダメです。慢性になっていたとしても局所を温めることは、やはりお奨めできません。

 「痛いのでお風呂に入ると楽になるんだけど」といわれるでしょうけど、それは腫れていて熱を持っているのですから患部とお風呂のお湯の温度差がなくなるので痛みを一時的に感じなくなっただけの話なのです。ですから、湯冷めをした頃から痛みが元通りになるだけであり、炎症がまだひどい時には腫れているものをさらに温めてしまったのですから明くる朝に一人で立てなくなっていたという話は、当然のこととなるのです。

 

 お腹と肩関節は冷やすと必ず痛くなり、その他の部位は温める方が痛みが増してしまいます。ズキズキする時には冷やすことで応急処置となりますが、できる限り素人判断で温めたり冷やすことはせず、まずは安静にしてから速やかに専門家の診察と治療を受けて頂くことが大切です。

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