「こむら返り」の対処法

 

 「足がつった」とか関西弁では「からすがいが起こった」というような表現もされている「こむら返り」です。「コブラ返り」などと表現する人もいますが、うつ伏せの時に発生すると蛇のコブラが頭を持ち上げているような状態になることもあるので、間違っている表現でもないそうです。

 これが発生すると激痛になるだけでなく、数日間は痛みが残りますし場合によってはふくらはぎが堅くなってしまい、しばらく足を引きずらないと歩けないようなことさえあります。しかし、正しい対処法を知っていれば回復はその場でできます。

 

医学的には、どういうこと?

 こむら返りは痛みを伴う筋肉痙攣のことです。南山堂医学大事典から一部抜粋してみます。

 【英】muscle spasms of triceps surae = 同義語腓腸筋痙攣

 下腿三頭筋の痙攣は、上位運動ニューロンの障害、中毒性疾患でも認められるが、健康な人の運動中にもしばしば発生する。筋の疲労、ウォーミングアップの不足などが原因で「こむら返り systremma」と呼ばれている。冷水中の水泳、テニスのサーブで爪先立ちなどをした際に誘発される。腓腹部の緊張と疼痛が加わり運動不能に陥る。膝の屈伸、足趾の伸展などにより筋の痙攣は緩む。軽いマッサージ、温浴も効果がある。

 

 うーん、なんだか分かったような分からないような表現ですね。まず上位運動ニューロンの障害、中毒性疾患でも発生するとありますから、あまりにもひどいこむら返りが頻発する時には脳や脊髄に原因があったり中毒が原因だということです。自己免疫疾患が原因ではないかという「全身こむら返り病」という難病もあります。けれど、通常はそのようなことはなく筋疲労やウォーミングアップ不足が主な原因だとされているという説明です。 もう少し一般的な説明をwikiペディアから引用すると・・・

 

 こむらがえり)とは、「腓(こむら)=ふくらはぎ」に起こる筋痙攣の総称で、「(足が)攣(つ)る」とも言われる。 特に腓腹筋(ふくらはぎ)に起こりやすいため、腓腹筋痙攣と同義とみなすこともある。 他にも指・首・肩などもこの症状と類似した状態になる場合がある。

 

 ということで、筋肉が痙攣をして強烈な痛みを伴いながら縮んでしまうことをいいます。類似の筋肉痙攣は、指やその他の箇所でも発生をします。縮む方向ですけど、おへその方へ、つまり身体の一番中心方向へ縮んでいきます。

 

「こむら返り」は、我慢してはいけない

 こむら返りが発生すると、じっと耐えているしかどうしようもないと思い込まれているでしょうけど、これは逆効果にしかなりません。特に連続して発生してきたりすると、その度に痛みが強烈になってしまい後遺症もひどくなってしまいますから、次のことをよく読んでください。なお、入浴したりマッサージを自分でするのはこむら返りが落ち着いてからのことになります。

 こむら返りは要するに筋肉が痙攣(けいれん)を起こしているのであり、この痙攣を持続させないようにすればいいわけです。痙攣はおへその方向へ縮もうとしていますから、その逆方向へ強引に延ばしてやれば数秒間で落ち着きます。具体的に説明すると、

 1.こむら返りが発生してきたなら、布団の中で寝ていたり椅子に腰掛けていても極端には泳いでいる途中でも、いずれの姿勢からでもまずは足を延ばして座ります

 2.こむら返りが発生している側の膝蓋骨(膝のお皿)を片手で押さえて、膝が伸びるように固定をします。

 3.伸ばした足の指先をもう一方の手でつかんで、強く引っ張ります。

 このようにすれば数秒間で痙攣は収まり、後遺症も残りません。身体が堅くて指先がつかめないようであれば、立ち上がっていわゆるアキレス腱を伸ばすストレッチ体操を行うことでも、早く痙攣を終わらせることは可能です。どちらにしても痛みを伴いますが強く延ばすことが肝心です。手心を加えて軽くせず、強制的に強く強く延ばしてください。

 この応用で、指が痙攣した時には指を反らせるようにして延ばせばいいわけですし、顎の筋肉の痙攣だと口を閉じて上を向けばいいわけですし、腹筋の痙攣も上半身を反らせば数秒間で治まります。強制的に強く強く延ばしてください。インターネットを検索すると「サプリメントを服用するようになって痙攣が発生しなくなった」というような記事がいくつも出てきますけど、まぁ特には必要ないでしょう。

 

ぎっくり腰は、防げる?

 まず寝違いに関してですけど、寝違いも首の痙攣が原因になっていることはあるもののこれは文字通り寝ている間に発生してしまいますから、目が覚めた時には既に痛みが持続状態になっています。痛みが軽くても筋肉がよじれているので自力での回復は難しいので、すぐ治療を受けるべきです。

 ぎっくり腰は腰の筋肉が痙攣を起こしたものです。臀部の筋肉や背部の筋肉で痛みを感じるのも(ギックリ背中)、同じ種類になります。ところが大抵は抵抗する間もなく瞬間的に強い痛みになってしまいます。あるいは最初の痛みは軽くても筋力が落ちてしまうため二度目・三度目のぎっくり腰を連発してしまい、最後は強い痛みになることがほとんどです。残念ながらぎっくり腰も、すぐ治療を受けるのが最善の方法となります。その際には、痛みというのは炎症を起こしていることであり炎症というのはもっと簡単に表現すればその部分が腫れているということなのですから、お風呂へ入るなどして温めると痛みが余計にひどくなってしまうので絶対に素人療法はやらないことです。

 ただし、背筋はいくつも小さな筋肉が集まって縄を編むように大きな筋肉を形成しているものですから、腰や背中の筋肉全てが痙攣を起こすわけではないので正常な箇所と痙攣を起こした箇所の境目に円皮鍼という押しピンのような形をした小さな鍼を貼り付けることにより、痛み止めの処置を行うことができます。専門的には経絡の流注を円皮鍼により擬似的に回復させているということになるのですが、これは劇的な効果につながることが珍しくありません。やはり早く治療を受けて頂くことが第一となります。

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