手強いですが期待は持てます
顔面麻痺および痙攣について
顔面麻痺には、単純麻痺のベル麻痺と、水痘・帯状疱疹ウイルス感染によるハント症候群があります。と、いきなり書かれてもどんな症状で・どんな違いがあって・治療はどうなる??と、わからないですね。
顔面麻痺は程度は様々ですが、左右どちらかで「のっぺらぼう」が発生することです。表情筋(顔の様々な動きから表情を作る筋肉)は数種類存在しますが、主に司っている顔面神経で麻痺が発生することです。逆に顔が痛むことを「顔面神経痛が出て」と素人さんは表現されますが、顔面神経には痛覚はなく、三叉(さんさ)神経痛といいます。
まず、ベル麻痺について
「南山堂医学大辞典」から、一部引用します。末梢性顔面神経麻痺と中枢性顔面神経麻痺に分けられる.前者の代表的なものはベル麻痺である(中略).現在では、病因が不明の特発性のものに限ってベル麻痺の名を用いるのが一般的である.
顔面麻痺には脳卒中に由来する中枢性のものもありますがごく一部であり、かなりが末梢性のベル麻痺という原因不明のものになります。昔は自動車の窓を開きっぱなしで長時間運転していたなら「のっぺらぼう」になっていたことがあり、寒冷刺激が知られていますが、外傷や糖尿病から発生することも知られています。
鍼灸治療では治癒率が高く、顔面のそのへんに施術すれば回復できてしまうくらい相性が抜群です。病院ではステロイド点滴をされてしまいますが、強い副作用に悩まされることなく回復できます。ただし、「痛くない鍼ができれば」ですが…。
ハント症候群
ラムゼイ・ハント症候群は主に2つの症状がありますが、顔面麻痺部分だけを「南山堂医学大辞典」から一部引用します。「顔面神経の膝神経節の帯状疱疹により、耳介、軟口蓋の帯状疱疹に患側の末梢性顔面神経麻痺を伴ったものをいう。初発症状として患側の耳痛、顔面深部痛がみられ、帯状疱疹の1〜10日後に顔面神経麻痺が出現する」。
うわっ、この説明は専門的すぎて何が書かれているのか、読み取れる人はおられないでしょうね。原因は水痘・帯状疱疹ウイルスに感染したことで、帯状疱疹が出てから顔面麻痺が必ずではないものの発生します。そして、運悪く発症するとウィルス感染なので重症です。
ベル麻痺とハント症候群の診断と治療
西洋医学の検査で厳密に違いを診断する方法がなく、麻痺の二週間くらい前に耳の痛みが発生していたかを問診し、痛みがあればハント症候群とします。「そんな原始的なことで!?」と思われるかもですが、帯状疱疹は小さく本人が気づけていませんから、決め手は耳の痛みの自覚症状のみです。でも、確実に区別できます。もし顔面麻痺で先に病院を受信していたなら、耳の痛みについて質問されたかで担当医の診断力がわかります。
まだ下積み修行時代の研修会で、先輩の先生から繰り返し聞いた話です。「ベル麻痺は顔面やその他になんでもいいから鍼をしておけば回復してしまうが、ハント症候群は発症から一ヶ月以内に治療開始できなければ安易に治癒を約束すべきでない、それも深い鍼は駄目で浅い鍼でないと完全には治せない」と、さらに強調されていました。先輩の先生はハント症候群の治療でよほど苦い思い出があり、何度も何度も強調されていたのでしょう。
治療については、ベル麻痺は元々から八割が自然治癒するものであり、先輩の先生が言われていたように気持ちいい鍼刺激が顔面に伝えられれば、発症から時間が経過していても割と短時間で回復できます。ところがハント症候群の場合、大抵は発症から数ヶ月以上経過してどうにもならないということから治療を求められてくるケースがほとんどなので、先輩の先生の忠告を守って安易な約束をしたこともありません。ほぼ治癒に導けているものの、残念だったケースもあり話は本当だったのです。具体的には手足のツボからの本治法(ほんちほう)という、全身の経絡を一気に整える技術が鍵となります。顔面への施術はちょっとした補助にしかならず、ウィルスをご自身が持っている力を発揮できるようにして、消滅させていくお手伝いをします。
顔面のけいれんについて
実は麻痺そのものよりも厄介なのが、顔面の痙攣です。長期間回復しない痙攣はほぼハント症候群の後遺症であり、治癒できる治療法が見当たらず苦心を続けていました。ここで先輩の先生の「深い鍼は駄目で浅い鍼でないと完全には治せない」の意味がやっとわかりました。動いてくれない症状はどうしても「このやろ」と力技の発想に傾きがちになってしまうところを、「浅い鍼ではなく刺さらない鍼で痙攣が発生している詰まっている部分をアプローチできれば」と、もう一捻り工夫をすることで突破口が開きました。具体的にはていしんで瀉法を行う方法がわかったのです。
実話はせっかちな患者さんのきついお言葉に思わず発奮し、事前の実験を飛ばしていきなり施したものが好成績につながり、その後に実験と検証から技術革新に至ったものです。回復には回数と時間が相当にかかりますし、残念ながら症状が固定して回復できないケースもあります。それでも全く刃が立たなかった症状も、多くの患者さんの協力から一歩ずつですが進化を続けています。
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