シンポジウム「補法、 瀉法の理論と技術−経絡治療の視点から−」でのビデオ


ていしんにより衛気と営気を明確に使い分けての本治法の補瀉  漢方鍼医会  二木 清文

腹部で臨床的手法修練を行っている写真  第53回日本伝統鍼灸学会でのシンポジウムに登壇する機会を得ました。過去に一つのテーマで継続したシンポジウムが行われたことはあったものの、技術論として補瀉に触れられても中身そのものにまで踏み込まれたことはなかったかと思います。研修会の枠組みを越えて技術交流をという雰囲気にはなかったからではないでしょうか。

抄録からの転載

 所属する漢方鍼医会の本治法は、漢方病理に基づき運用しています。ていしんを用いての衛気と営気の操作になります。

1. 衛気は陽気、営気は陰気
 では、古典を参考に補瀉の使い分けです。難経七十六難に、「補瀉はどうやって行うのか」と直接的な質問が投げかけられ、「補法は衛気で虚しているところを補い、瀉法は営気を抜き取って散棄する」とあります。その後に「人体は様々なので補瀉も色々あるが、陽気と陰気を調和させるのが要点だ」とあります。難経のほとんどは本治法について書いているので、陽気と陰気の操作が補瀉になると読み取れます。
 陽気と陰気の操作は、七十一難に「営を刺すときには衛を傷(やぶ)ってはいけないし衛を刺すには営を傷つけてはいけない」とありますから、明瞭に片方ずつ動かすのが要点だと書かれています。「営は血を主り内の陰分を巡り、衛は気を主り外の陽分を巡る」とあり、七十六難の前のこの段階で衛気は陽気、営気は陰気だと宣言されています。ここから衛気(陽気)の補法は文字通り補法となり、営気(陰気)の補法は結果的に瀉の働きとなると実践しています。

2. 具体的な手法について
 七十一難には、「衛気を目標とするときは鍼を横にして内の営気を傷らないようにする」「営気を目標とするときは押し手で摂按をして衛気を散じてから行う」とあります。大きく全身が変化することも含めて、ビデオで実技を見ていただきます。
 また一難に「経脈は一呼吸に六寸進む」とあり、即ち営気の速度ですから、軽擦の段階で六寸よりも明らかに早いか遅いかでこれから操作する気の区別を伝えておくと、反応がより良くなることもお見せします。さらに「気が至る」を含めて、臨床的手法修練法もお見せします。(ビデオのリンクはページ下部、脾虚肝実証を例にした運用法については省略)

4. ていしんだから運用しやすい
 漢方鍼医会の本治法は、ていしんを用います。ていしんには「しなり」がないので七十一難の手法を明瞭に再現できるからです。なお、難経は刺鍼することが書かれてありますが、現代の毫鍼とは明らかに違いますし、ていしんは工夫により新しい種類が作りやすいので、「どうすれば難経に書かれてあることが忠実に行えるのか」を求めた結果です。

臨床的手法修練法について

手法イメージを表した放物線の図  図の放物線は、上下は補法で補っての硬化の状態を表し、右から左が時間を表しています。手法には適切な時間があり、一番は放物線の頂点で抜鍼することですが頂点はピンポイントなので、ピンポイントの手前から抜鍼動作に入っておかないとタイミングに合わせられません。もう一つのシンポジウムに出していないビデオは、この「輪唱的手法修練法」荷特化して解説をしています。

シンポジウム「補法、瀉法の理論と技術〜経絡治療の視点から〜」 二木発表分のビデオ - YouTube   手法時間の考え方と図による説明、および実技収斂ビデオをyoutubeで再生


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