東洋医学・治療の説明

 さて、定番の「東洋医学」や「治療」の説明ページです。この手のページが開いていただけるのは、ハッキリ言って健康に対して熱心な関心を寄せられている方か同業者の方です。残念ながらコラムを拾い読みされている ネットサーファーには 開いてもらえる確立がとても低いです。
 そこで、何としても立ち止まって読んで頂くためビデオも用意しコラム風でもあり、極力写真と連動させた解説を試みました。
ビデオ 経絡と鍼灸について   ビデオ 治療メカニズムの説明   ビデオ “ていしん”の説明
 セクションごとに題字が付けてありますので、 理解しやすい箇所から読んでいただければ結構です。

西洋医学と東洋医学

 いきなり定番中の定番です。堅く書き始めると「ネガティブキャンペーン」のように相手の非難ばかりになりますから、素人さんから受ける印象で書いてみると・・・
太極マーク  西洋医学の現代的印象は「画像」や「数字」で、とにかく 『目で見えること』『数値で表されていること』が基準になります。 それ自体はとても大切なことであり定期的に検査をする意義は大きいのです、当院からも是非 ともお奨めします。
 しかし、病状があるのに『目では見えない』=数値に表れないことも多く、そうなると最悪 「気のせいだ」なんてことを言われかねません。

 東洋医学の印象は、「神秘的」とか「副作用がない」といった魅力的な反面「非科学的」という厳しい評価もあります。有名になったご覧の「太極マーク」ですが、これは「陰陽」つまり陰と日なたを表しています。しかし、西洋医学の発想と大きく違うところは 「陰の中にも陰陽があり・陽の中にも陰陽があり」 と、向こうとこっちをハッキリ区別するのではなくお互いに助け合うことで成り立つものだという思想が根底にあることです。
 患者さんによっては大げさな表現もありますけど、病状が「あるものはある」のですし、 「気のせい」なのではなく「それこそが気の働き」 だとして治療が始まります。

 これは極端な表現ではありますが、的確な表現でもあります。西洋医学は 「目で見えるもの」 が基準ですから見えないものは切り捨てますし、見えるものは診察者の気に入る範囲に収めようとする傾向がどうしても強くなります。言い換えれば、間尺に合わせる治療が多く行われていることになります。 適応範囲から飛び出しすぎているものを納め直してくれる”手術” は飛び道具なのでそれは必要なのですが、 少しピントがずれただけのものを無理矢理コントロールされるのは、大きなお世話 のことが多いでしょう。
 東洋医学は無理矢理コントロールするのではなく、 人体が本来持っている自然治癒力 を発揮させるように働きかける治療法なのです。決して万能ではありませんが、守備範囲は想像されている以上に広い医療なのです。

経絡図の写真

経絡(けいらく) その1

 私ごときが偉そうに書くのもおこがましいのですが、古代の人たちが優れていたと感心させられることは、魚や鶏・羊・犬・豚などを食していたわけですから当然内臓の構造も知っていたはずですし、正確な人体の解剖図も残っているのに 治療をするための経絡 という概念を貫き通したことです。
 「鍼をすることで血行がよくなるのですか?神経が安定するのですか?」などの質問は定番中の定番です。結果的には血行がよくなったり神経も安定しますが 鍼灸で調整しているものは「経絡」であり、経絡に流れる「気」 です。それ以外のものを鍼灸で調整することは少なくとも私はしたことがありませんし、 経絡の調整を無視した形で行われている鍼灸を「鍼灸術」とは思えないのです。 (経絡については、後でもう一度触れます)

  鍼の種類

毫鍼と鍼管の写真   森本てい鍼の写真2   てい鍼を手のひらに押しつけた写真

 左はテレビなどに出てくる、いわゆる「はり」の写真でその上の太いものは鍼管といいまして、これに最初鍼を通してトントンと叩き込めば痛くなく鍼を身体へ刺すことが容易となります。私も(視覚障害者ですから)滋賀の盲学校に在学していた時にはほぼこの道具類でしたし、助手時代も開業してしばらくもこの道具類が主体でした。ですから、 世間一般で広く行われている鍼灸そのものを否定する気持ちは一切ありません。 しかし、 経絡の調整を主目的としないものを鍼灸術とは認めがたいです。

 中央はトップページにも掲載してある「てい鍼」の写真で、右は 「てい鍼」が本当に刺さらないことを証明するため手のひらへ思いっ切り押しつけた写真です (カラーでは返ってわかりにくくなるので色を抜いてグレースケールにしてあります)。
 単に「痛くないようにするため」に道具を変えたのではなく、より古典医書を忠実に再現するにはどのようにすればいいかを追求する中で自然に変遷してきたものです。それに 「痛くなくて」「刺さらなくて」治療効果が上がるのであれば、それでいいんじゃないでしょうか?


 それでは、「刺さらない鍼」でどうして効果が上がるのかの説明を致しましょう。

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