奇経(二経)治療の概要まず旧版「漢方鍼医会入門講座テキスト」(絶版)より抜粋して、奇経(二経)治療の解説をします(このセクションは管理人の執筆によるものです)。(本文) 「奇経」というくらいですから正経十二経絡とは異なった流注を有している奇経八脈が古典に記されています。「正経満逸する時は奇経これを受け」とありますから、例え話にすれば大雨で洪水が発生しそうになったので普段はあまり使っていない貯水タンクへ臨時で雨水を貯えることにより洪水の危険性は一瞬で解消される現象を想像してください。溢れそうになっているものを奇経に待避させることにより正経の歪みが擬似的に解消されるわけで、その効果は瞬間的ですから、ぎっくり腰で全く動けなかった患者さんが簡単に起き上がったりするなど治療家までビックリするようなことさえあります。 しかし、擬似的に解消された歪みですから漢方はり治療の特色である「生命力の強化」が行われるわけではありませんので、奇経への働きかけを止めてしまうと再び歪んだ状態に戻ってしまい、弱点である「持続力がない」ことを露呈してしまいます(本文ここまで)。 つまり、奇経(二経)治療とは正経の歪みを奇経側へ一時的に移動させることを意味しています。正経の歪みは解消されるのですから、様々ある苦痛のほとんどを感じなくなってしまいます。ですから、奇経(二経)治療には瞬間的でしかも劇的効果が期待できます。 ところが、治癒を目的としたものではなく歪みを奇形側へ一時的に移動させているだけなのですから、救急法・補助療法として用いることに大きな意義はあっても治療の主役にはなり得ないことを、まずは押さえておいてください。 |
もう少し平易に解説本サイトの各所で素人さん向けには、「東洋医学の基本的な考え方は身体というものは常に自分で健康を保とうとしているのでバランスがよければ良好でバランスが崩れれば病気となるのです。つまり、治療は全体バランスを整えるのが第一の目的であり、痛む箇所へ直接手を下すのは最終調整の段階だけなのです」のように解説をしています。それで、通常は「本治法」という手足の重要なツボで全体バランス調整から入るのですが、応急処置として瞬間的にバランスを整えることの出来る方法が奇経(二経)治療なのです。 手足のツボの組み合わせと異種金属の貼付で奇経(二経)治療は成立しますから、治療室ではPM鍼や亜鉛と銅の円盤やお灸などを用いますが、電話の向こうであれば10円玉と1円玉で代用することも可能だということです。実際に夜間の激痛に対して電話口で指示することにより回復して頂いた経験が何度もあります。ということで、治療スタイルによってはかなり積極的に取り組まれている先生もおられます。ただし、あくまでも救急法・補助療法です。 |
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