(この文章は2019年12月に本部研究部で発表したものです。当日の追加発言は■■の後からです)

 

「治療パターンを整理する- 時邪を応用した切り分けツールの提案」2

 

滋賀漢方鍼医会  二木 清文

 

 

1. 季節の中の漢方はり治療とは

 「季節の中の漢方はり治療」というお題が掲げられて何年経過するでしょうか。「四時の旺脈」ということでたとえば春は微弦が出ていることが順当であることは漢方鍼医会創設時からいわれていたことであり、経絡治療の世界でも季節は意識して治療すべきだと聞かされていました。そして春には肝虚が多いか肝経が絡んだ病理で証決定をしていくのかと意識はしていました。あはきワールド」での森本先生の連載では、「春には弦脈が現れているということからこいつが弦脈ではないかと指先で観察し続けることで会得をしていった」ということが書かれており、その次の季節はこの脈状と古典に書かれてあるからということで脈状把握の土台になったそうです。現代の進級しも、エアコンが普及したからと季節変動を無視していたわけではありません。

 けれど昨年もぼやいたことですが、突然に「季節の中の治療を意識しなさい」と号令がかけられても特に地方組織では戸惑うばかりであり、何をそれまでと変えれば効率的な季節の治療になるのかが具体的には示されてこなかったのでなんとなく春だから・冬だから気にとめなければならないものは何だろう程度、あるいは「ここを探りなさい」と言われたものをとりあえず触ってみるだけという会員が多かったのではないかと思います。少なくとも私は、探るべしとされた経穴と証決定の間に溝を感じていましたし、「これが季節と漢方はり治療の間に何を変えてくれているのだろう」という疑問符だけでした。

 それが今年度へ入り、大阪夏期研で大阪漢方鍼医会が考える季節の治療が具体的に実技で示されたことにより、やっと柱がしっかり見えてきました。見えていなかったのは私だけかもしれませんけど、少なくともディスカッション後に大阪の会員から実技を確認して「本当にいきなり瀉法から入るんだ」と目を丸くした人は周囲に大勢いました。

 そこで、まずは私の中で整理できた「季節の中の治療」について列挙させてもらいます。ただ、結論になってしまいますが「季節の中の治療」は五気と六気の考え方が同時に存在しているように古典の中にもいくつかアプローチがあり、臨床でのアプローチはどれが正解ということでもなさそうです。極端には「季節重視で鍼灸をしていくのか」「季節を踏まえて漢方はり治療を研究していくのか」のスタンスの違いが、臨床スタイルの違いになってしまいます。大切なことはどちらも正解なのであり、お互いの立場を認めながらより研鑽していくことではないでしょうか。そして30周年記念あたりで「漢方はり治療の標準スタイルはこういうもの」が打ち出されれば、日本の伝統鍼灸分野に大きな足跡が残せるのではないでしょうか。

 

1.1 本部が提唱する「季節の中の漢方はり治療」

 新井敏弘先生が昨年には「雨期の漢方はり治療」で、先月に「冬の季節の中での治療」を発表されていました。二つの発表を総合すると、現時点の冬の季節では旺盛になるのが五行では水ということから腎経や水穴を意識した治療を組み立てることを主軸に考えていければということで、頭の片隅に必ず季節を意識して病理を組み立てるのを第一候補とするものだと概略を理解しています。

 ただ、本部からは五気と六気がずれてしまう時期があることについての解決策が示されていません。それから該当するとされる経穴をまず探るのですけどいい反応が得られなければ従来の漢方はり治療へ舵を切り直すのですが、その切り直す判断の基準が明確には示されていません。

 ここで苦言になるのですけど、取穴時間に自然体から丁寧に軽擦をして経穴を探る練習を毎月繰り返しているのに、どうして「では探ってみましょうか」という段階になるといきなりポンと指を措いてしまう人が多いのでしょうか?何のために基本練習を毎月繰り返しているのかをもっと理解していただきたいですし、そのポンと置いたその場所は絶対に正しい経穴の場所で適切な重さなのでしょうか?そんな簡単にポンと経穴が正しくとらえられるなら、私は指導してもらいたいです。「生きて働いているツボ」は常に動いているのですから、少なくとも何度か皮膚上で指を滑らせて探らないととらえられないはずであり、軽擦を繰り返すことで経穴は浮かび上がってとらえやすくなってくれるのですから、証決定を確認するには軽擦あるいは摂按という動作を外さないでください。しっかり指を滑らせて取穴すれば、もっと「季節の中の治療」はうまく捉えられるかも知れません。

 

1.2 大阪漢方鍼医会が提示してきた「季節の治療」

 大阪漢方鍼医会は基本軸を邪論にされていますから、手法も瀉法中心であり季節の邪をまず排除するということが夏期研でしっかり提示されました。最初に学術合宿で見せてもらったのは3月でしたから立春後なので関係の大敦をまず摂按し、落ち着けば瀉法をして本治法そのものを終わるケースが多くありました。弦脈は元々触れやすく多く見られますから大敦からの瀉法もそこそこわかるのですけど、「えっこれだけで本当にいいの?」というのが私の班での感想であり、瀉法だから劇的効果を期待したのですけどそのあたりはちょっと違うようです。

 夏期研は立秋後ですから肺経の経渠もしくは大腸経の商陽か陽谿ということになり、ト脉を探して瀉法するという実技を実際に大阪の会員から見せてもらいました。今は冬ですから腎経の陰谷もしくは膀胱経の足通谷か委中になるのでしょうか、まず邪のありどころを脈診を中心に探って瀉法から入るというやり方です。夏期研で「聞いてたけどほんまにやってたんかいな」と、大阪の会員以外はほとんどが驚いたことでしょう。私も数回の合宿で実技を断片的ですが見せてもらったのですけどまだ消化しきっていなかったので、経渠への瀉法は見入ってしまいました。それも「有無を言わさず」というより「問答無用」という感じで瀉法がまず行われるのですから、抵抗感が未だに残っている会員も多いことでしょう。ただ、身体の変化は直後のものもあれば少し遅れてのケースもありますが、着実に現れてくれました。その変化が臨床家として是か非かとなると、これは一概には言えません。

 その後の追試なのですけど、「苦しいときの瀉法頼み」ではありませんが病理考察に手がかりが少ない場合に用いて、効果を上げさせてもらっています。先月の本部研究部でのモデルは咳き込むことはあるもののそれは数日前までのことであり、珍しく肩こりも腰痛も調子がいいということで手がかりがありませんから立冬後なので腎経の陰谷を摂按で探ると落ち着きそうなので瀉法を行うと、菽法ぴったりの脈状になり本人も気持ちがいいということでした。先日の滋賀で行った三河との合同治療室例会でも特にという訴えはなく早朝から出かけてきたことの疲れ程度というので、腎経の陰谷へ営気の手法を行ったなら脈状だけでなく腹部も非常にバランスのいいものが仕上がりました。けれどその次のモデルは問診段階で腰椎ヘルニアが濃厚であり、陰谷を探ろうとするといきなり脈が暴れ出しますしモデルからもいい反応は戻ってこないので次の項目になる六気に基づいた方法で時邪をまず払って脈状を変化させ脾虚肝実証で治療をしています。表現が少衝乱暴ですが、時邪くらいしか思い浮かばないときにまず試しているのが今の私の臨床です。

 現時点での疑問は、非常に弱々しかったり抗がん剤などで副作用に苦しんでいるような状況だったとしても何が何でも瀉法から入らねばならないのだろうかということと、土用になると脾経に施術が変わるのですけど移行期間のようなところは考慮せず暦通りでかまわないのだろうかということです。また大阪からは瀉法を行うと提示されているのですがそれには段階があるということでかなり難しく、営気の手法でも効果が出ているのですけど、これは夏期研の資料からすれば個人の選択でかまわないのでしょうか。そして季節の邪を除去するだけで十分でない場合は従来の漢方はり治療へと舵を切っていくと説明されているのですけど、大阪の会員の実技を見ていると最初の瀉法で処理しきろうとしている感じで分岐点についてが全くわかりません。診断が脈診を最優先というのも、非常に気になります。

 

1.3 研究中の六気からの方法

 漢法苞徳会会長の鈴木福三朗先生が初めて外来公演をしていただいたときの原稿を、一部引用させていただきます。(引陽ここから)「八木先生も時邪を言い出してから、どこから邪を抜こうかというのを十数年かけて試行錯誤されていました。邪の入った経、絡の邪の性質を持ったツボを使うなどしながら効果的なツボを探っていたわけです。そして、亡くなる何年か前、最終的にたどり着いたのが、金元四大家の張子和の書いた『儒門事親』でした。その中に完璧な文章が書いてありました。それによると「風木肝酸は達鍼。胆と表裏をなす。東方は木なり。色は青。外は目に応ず。血を治すを主る。」とあり、そのあと薬味が書かれており、「諸風、掉眩皆肝に属す。木は動を主る。治方をいうに達は吐なり。大敦刺すべし。また灸も同じ。」とあります」(引陽ここまで)。そして各季節は該当する井穴で時邪のほとんどが処理できると説明が続き、それでも処理できないときには次の段階を使うこともあるが病情に対する治療へと移っていくとも説明されていました。その後に昨年の伝統鍼灸学会の講演では、時邪の治療は井穴で行い時邪の処理はここで完結されると話されていました。向こうの会では脈診は治療システムに組み込まれていないので、確認はせず次へ進まれていました。

 鈴木先生から実技を受けたときには10月ですから五の季であり、あの大きな大きな汎用太鍼で肺経の井穴である少商を悲鳴が出るほどの強い力で押さえられました。これはていしんを用いてきわめて軽微な治療をしている我々と技術体系に差があることと、脈診を駆使することで漢方鍼医会の季節の治療を構築しようとしているのでそのままを使うことはできません。けれど、これだけはっきり時邪は陽谿の可能性もあるが井穴に現れて処理するのだと書かれてあるので、学術合宿での体験からこだわって追試していたなら六気に従って井穴を摂按していると時邪から受けている影響が一時的ながら除去されることにより、陰経からと陽経からそれぞれ生気論と邪気論のどれを選択すべきかが切り分けられることを発見しました。

 

 ■■昨年の発表時も用いたのですが、「邪気論」の治療法に対してテキストに書かれてある治療法には言葉がないので「生気論」と表現をしたのですけど、漢方鍼医会での定義がまだないので今回もそのような表現でこの先を区別させてもらいます。

 

 

2.  昨年の発表から

 時邪について取り組み初めての学術合宿は2月であり、「初の季」ですからすべてのモデルでまずは肝経の大敦から探っていると一人は脈が沈んでいくのでそのまま大敦へ営気の手法をしてとてもよくなり「季節の治療が該当できたんだ」ということで班員全員がこれは納得をしました。ところが次のモデルで大敦を摂按して確認すると、今度は脈が浮いてきていたのです。けれどどちらも大敦の摂按で脈状がとても捉えやすくなったのであり、これが確実に再現できないかと追試をしました。その結果は、井穴への摂按を交互に数回行うことで陰経か陽谿どちらかで跳ねた脈状と落ち着く脈状が明確に区別できるので、当然落ち着く側を本治法の入り口だと判断できることがわかりました。

 さらに落ち着く側では浮沈の変化も現れることから臨床とリンクさせていくと、沈むときには邪気論から浮くときには生気論からのアプローチが効率的ということも判断できました。これで陰経から生気論か邪気論か・陽谿から生気論か邪気論かと、漢方鍼医会で行われている四つの治療パターンが切り分けられるのでとても便利で効率的な臨床へつなげられているという第一団の報告をしています。陰実証(肝実)は邪気論でのグループになり、肺虚肝実証は腎経から営気でのアプローチで治療をしていきますから、あるいは脾虚肝実証は脾経に衛気で補ってから胆経へ営気から瀉的にアプローチするということで本治法は衛気・営気の手法を用いています。

 

2.1 時邪の払い方

 摂按(せつあん)というのは、流注に対して垂直方向に指を動かすことで取穴練習からもわかるように瀉的なアプローチとなります。営気の手法で「まずは衛気を傷つけないようにして」というのがこの摂按に当たるもので、衛気を払うことは軽く邪気も払えるのでその後に瀉法に該当する鍼が適応できるのかの判断にも使えます。大阪夏期研では経渠へ瀉法をする前に、摂按で確認をしていました。流注に従って軽擦するのと同じ指の軽さで、数回垂直に指を動かせば目的は達成できます。垂直方向ですから、距離は短くて大丈夫です。

 これを六気の該当する経絡の陰経と陽谿の井穴へ、陰経・陽谿・陰経・陽谿・陰経・陽谿と三セット行って診断しています。一セットでは脈状の変化が出ないケースがあるのですけど、二セット目だとかなり脈状が変化し、確実に捉えるために三セットとしています。腎経の湧泉はかかとの方から指を動かしてくるとうまく反応が現れ、「三の季」は心包経と三焦経なのですけど「二の季」から続いて心経と小腸経の井穴で探った方が変化が捉えやすかったです。

 

2.2 邪気論と生気論が切り分けられる仮説

 これもすでに昨年の発表の中にありますが、仮説についてまとめます。

 森本先生がされていた表現を一部借りて説明すると、症状が発生しているのは道路の中に障害物があるようなものなのでこれを直接除去しようというのが邪気論の治療法です。これに対して全体の流れから掃除してしまおうとするのが生気論での治療となります。時邪を指で払ったときに障害物が残っているので流れが緩慢となり脈が沈むので邪気論だと判断できるようになります。症状そのものが軽かった利胆に循環のむらがあるだけなら障害物はないので全体を押し流せばいいのであり、脈が浮いてくるので生気論で治療をした方が効率的ということになります。さらに陽経・陰経のどちらからアプローチすべきかも、時邪の影響から判断できると仮説を立てています。

 大阪漢方鍼医会とのアプローチの差が出てきたのは、時邪を操作したときに「この捉えられた邪気を抜けば宇宙の法則にも従ったものになる」と直接瀉法を発送したのか、「時邪のノイズがなければより的確にできるようになる」と漢方はり治療と紐付けて発送したのかだと私は勝手に考えています。

 

2.3 生気論は選経・選穴、邪気論は選穴・選経の順で考察

 これも一昨年に発表していることですが、生気論についてはテキスト通りにまず選経から選穴を絞り込んでいくというオーソドックスな病理考察で行っています。そして邪気論で治療すべきと診断したときには、まず選穴を思い浮かべてから選経を絞り込んでいくという逆パターンで行っています。

 生気論は五臓の生理・病理から変動を導き出して五行穴の性格に矛盾しないように考え、邪気論では病因がはっきり捉えられる状態なのですから病症としてもわかりやすいので六十八難に準じて選穴を先に絞ってしまう方が臨床から効率的だと経験しています。しかも邪気論を陽経から行う場合には表裏だと五行を合わせる必要がありますけど、剛柔で用いると陰経からでも陽経からでも五要穴そのままで運用できてしまうので混乱がありません。その分、生気論で陽経から本治法を行う場合には残っているのが原穴か絡穴とバリエーションが少ないものの、そもそも五臓の動きさえ助けてやれれば目的は達成されるので、これでいいのではないでしょうか。

 

2.4 選穴は少し時間をかけて

 前の方でも書いたことですが、「それでは確かめてみましょう」という段階になるといきなり指を経穴へ持って行ってしまう人が多いのですけど、「生きて働いているツボ」を追いかける意味においても流注に従った軽擦もしくは垂直に横切る摂按をして、幅を持たせた状態で診断を進めるべきです。そして、もう一言。診察の段階であれば脈診が得意な人は脈診であらゆる情報を集約してかまわないと思っていますし、私自身が不問診で一気に病状を患者に即答で告げていることがありますが、診断は総合で行わねばなりません。あまりに脈診へ頼っていると誤治に気づかないだけでなく、そのうちに自分がどんな治療をしているのかさえ見失いかねません。せめて脈診に腹診と肩上部のすべてが改善している「三点セット」と呼んでいるもの、治療を進めている途中でもこの三つを常に確認し続ける癖が大切です。けれど現在の漢方鍼医会では治療中に脈診以外も常に確認している人をほとんど見かけません。それどころか診断を脈診のみで行ってしまっている人が多く、それは自ら上達への道を閉ざしていると強く警告します。

 末端よりも体幹に向かって経穴は深くなるのであり、それだけ反応速度にも遅延が発生していることに気づいている人が、どれだけいるでしょうか。腹診と肩上部は、明らかに遅延があります。衛気で探っていたとしても、合穴なら脈診でさえ瞬間の変化ではありません。まして長時間指を起き続けていると、脈はぼけてきてしまいます。邪気論で治療しようというのであれば、なおさらいきなり指を措いてしまうやり方だと正確なものは見えていないというのが理屈です。

 

 ■■まだ三年後になりますが次の夏期研は滋賀での開催になるのですが、補助療法を取り上げることになっていてナソの活用ということも考えています。ナソで選経・選穴の確認ができるのではないかという探り方が出てきているのですけど、これで合わせながら総合診断していると金穴や合穴の適応になることが多いと感じていて特に合穴では変化が現れるまでの遅延があることがよくわかるのです。本当にすべての反応は瞬間的でしょうか?皆さんがすでに経験されていることなのでしょうけど、ちょっと触れただけではいいのか悪いのかが判断しづらかったものが、しばらく経過すると「あぁやっぱりこれでよかったんだ」というように変化してくることがあります。触った瞬間に即決しようという傾向がありますけど、経絡というものは循環しているものであり衛気であっても全身へ巡るには若干の遅延はあるので、指をポンと置いて「はいこれ」のようなやりかたは賛成しかねています。

 さて、ここから先は治験例になりますがあえて面白い・珍しいものをピックアップしてきたので、やたらと陽谿から邪気論で治療しているばかりではありません。普段の臨床では邪気論には陰実証も含まれるので七割弱くらいということで、テキスト通りの生気論での治療も相当に行っているというかその方が都合がいいのです。

 

3.  治験例

 それでは、臨床現場で時邪を払うことにより治療パターンが切り分けられることからその後の病理考察の絞り込みが楽になり、治療の流れがスムーズになっている治験を列挙していきます。 なお、生気論についてはテキストに掲載されている形式で表記し、肝実証についても治療の流れが読み取れますからテキストの表記を流用しています。邪気論については「肝病」「腎病」「脾病」「肺病」と表記し、営気の手法で対処しています。蛇足ですが邪気論では原則一本の鍼で本治法が完結してしまうのですけど、十二経絡がたった一本で即座に整ってしまうというのにはやはり無理があり残った細かなゴミを排除するような補助の施術が必要で、森本先生は標治法へ入ったところで後頸部や後頭部から行われていますけど私は側頸部へオリジナルの邪専用ていしんで行いその後標治法までに半時間程度休憩を挟むようにしています。さらに蛇足ですが、生気論でも同じく側頸部への施術を加えることで、より整った胃の気が増した脈状作りができています。

 

 ■■蛇足で書いてしまいましたけど、なぜ側頸部あるいは後頸部や後頭部なのかというところですが、これは陽谿がすべて通過している部分だからです。数年前にやっと邪気論の治療が乗りこなせるようになった時期の発表にも盛り込んでいるのですが、一本の鍼だけで菽法ぴったりの脈を作り出すことがなかなかできず「うまく行かないなぁ」と思っていたところ、首を補助的に施術しているとそのときにはうまくまとまるのです。「ひょっとして一本の鍼だけで十二経絡を一気にまとめようとすることに土台無理があって、細かな邪が残っていたり王枳実の状態もあるのではないか、だから陽谿がすべて通過している首を処置したならうまくまとまるのではないか」と考え、オリジナルの邪専用ていしんを側頸部にタッピングの要領で行ってみるとうまくまとまるようになったのです。この経過があって邪気論の治療も悩むことなく同時に扱えるようになりました。

 

3.1 全身がむくんでいた肝病での二間

 患者は54歳、女性。数日前から発熱が続くだけでなく手足がむくみ、節々の痛みが甚だしいのに二つも病院へ行ったのに何もわからず服薬も効果がないと血走った目線で来院。明らかに病的な数脈なので陽経から陽虚として治療すべきは瞬間的にわかるものの、生気論か邪気論どちらのアプローチが素早く対処できるのかの見当がつかない。時邪を払うと脈状が沈むので、邪気論の考察をすることとして治療を進めた。

 ■■ちょうど一ヶ月くらい前のもので、最近では身震いするほど緊張をした治療です。来院時でさえ38度以上の発熱があり、指輪が外せないほど手足はむくんでいました。本当に目が血走っていて、「ここで治らなければ私はどうしたらいいのかわからない」と視線でも訴えられてきました。それで追加情報になりますが、真熱があることも瞬間的に把握していました。脈を横から図示していると想像してもらって、上部と下部は薄っぺらいのに真ん中は分厚くなっているというのが真熱の脈状であり、要するに身体内部に熱がこもっています。

 通常真熱は陽虚の時に現れやすいですから陽虚として考えたいところなのですけど、陽虚でむくんでいるというのはあまり見かけませんし陽虚なら発熱はあっても乱高下するはずなのにずっと発熱が続いています。では、邪気論ならどんな邪が入っているのかな、風ではこれほどのむくみにはならないはずです。問診はしましたけど頭の中では整理しきれないので、病体に尋ねてしまおうと診察をそのまま進めました。全員の患者へ井穴への摂按をして時邪を払っての観察をするのですが、この時点では「五の季」ですから肺経と大腸経の井穴を交互に摂按していくと病的な数脈は最初からわかっていたので予想通り陽谿側で脈状は安定して加えて沈みました。むくみが顕著なので「逆気して漏らす」から合穴が考えられるのですけど、その前に真熱の脈状が明白なので「身熱す」で栄穴に選穴は的を絞りました。そして肝の疏泄作用が落ちているためにむくみが発生しているのではないかということで、肝経を陽谿から治療するときには剛柔で大腸経を用いることになりますから右の二間を摂按して瀉的な鍼ができるのかを確認しました。摂按すると脈状が落ち着きそうですし、それよりもツボを触った瞬間にむくみが少しですが改善したので決断をしました。本治法は二間へ営気の手法を行い、直後に側頸部へ邪専用ていしんで処置をしていると手のむくみが明らかに改善していたのでそのまま30分休んでもらいました。標治法へ戻ってくると発熱はかなり下がっていましたし、足のむくみの方が改善していました。

 明くる日に来院してもらうときれいに解熱していただけでなく、指輪を取ることができていました。明くる日に京都まで孫の七五三があるので出かけてもかまわないかという相談があったのですけど、自動車だということですからもし具合が悪くなったなら途中でも引き返すだろうということで許可しておいたところ、その二日後に来院してもらうと楽しく参加できたということでむくみも発熱もすっかり解消していました。この三回目までは、肝病で二間を営気の手法で用いています。この病状は怖かったのでさらに一週間後に来院してもらうと、その後も症状は再発せず肩こりがそろそろ気になりかけているかもということで肺虚肝実証で治療をしています。ちなみに病院の検査結果を尋ねたのですけど、まだ来週にしか出ないということで「もう行かんでいいやろ」と笑っていました。

 

3.2 インフルエンザだったかもしれない肺病で小腸経の前谷

 患者は55歳、女性。突然の高熱で身体中が痛くひどい頭痛でも苦しそう。本人は風邪ではないというが、脈状は風邪のようである。

 ■■開業して30年になるのですけど、開業した年から来院されている女性です。昔は血圧が低くて100に到達していなかったのですけど、最近調子が悪いということで二ヶ月くらい前からまた通院し始めたなら脈が堅くておかしいと考えていたなら本治法の時点ではわからなかったのですけど、カルテを記入していると前後が整理されて血圧が高くなっていたことに気づきました。それで測定してきてもらうとみごとに140の高血圧症になっていました。この継続治療中に突然の発熱と、全身の節々が痛くてということになりました。

 先ほどの患者さんとの違いは、むくみも少しはあったのですけどひどいものではなかったというところです。冬の季節は肺経の変動が多くなるはずですけど、漢方鍼医会発足時に池田先生から教えていただいた理論では肺虚には陽虚証か陽実証しかないことになっています。ところが肺経が変動していて陰虚証のような症状にも多く遭遇するのですけど、これがありません。肝虚肺燥証ということで治療するのだと教えていただきましたが、布団へ入ると咳き込んでくるという症状が特徴でこれも多くの治験例があるのですけど必ずしも咳き込むわけではありません。これが数脈で陽谿から剛柔で治療をするようになったなら、肺の陰虚証に思えるものが難なく処理できるようになったのです。このときの治療では井穴を交互に摂按していくと陽谿の側で脈状が整ってさらに沈んでしまうので、本人は風邪とは違うと言い張るのですけどやはり熱が原因だろうと考察されます。肺経の剛柔なので左の小腸経の前谷を営気の手法で行い、劇的にその日の夕方には痛みが取れていたということです。

 

3.3 二度目は肺虚陽虚証で経渠

 前例と同じ患者。前回の治療で劇的に解熱し痛みも回復したなら、やっぱり風邪の症状が出てきた。

 ■■前回の治療で解熱をしたなら、やっぱり咳が出てきてしまいました。この状況からすると、前日までなんともなかったのに突然に高熱となって頭痛も激しくということからインフルエンザではなかったかとの疑いがますます濃いのですけど、医者で判定をしてもらわないと確定診断にはならないのでこのあたりは決着されないままです。それで病的な数脈ということになると二回から三回くらい連続で陽経から治療することは珍しくないのですけど、一時的な数脈であれば次では陰経での治療へ戻ってくることが多いと思っています。このケースでは見事に解熱をしており、冷や汗があったので陽虚証として捉えるのが妥当だろうと思われました。咳症状が出ているので第一候補が経渠で、魚際も考えられましたが探ってみると経渠の方に反応があったので肺虚陽虚証として治療をしています。

 

3.4 頸椎ヘルニアで右腕が動かしづらい肝虚陰虚証

 患者は33歳、男性。二週間前から右肩関節から情志が重だるく、だんだん動かしづらくなってきていたのだが本人が頸椎ヘルニアと気づいていなかった。

 ■■えーっと、病的なくらいのスノーボーダーなのです(笑い)。ここで「病的」という表現はしなくてもいいのですけど、生活からスノーボードを切り離してしまうと何も楽しみがないというくらいの人ですから、当然ながら転倒をしていたことが発病のきっかけでした。それで来院時なのですけど、私には転倒したことを告げていませんでした。右上肢の挙上そのものはできるのですけど重たいということで、これだと肩関節の症状だとは考えにくいので脈診をしてから首を探ると「あっこれ」というくらいの頸椎ヘルニアがすぐ触れられたので、原因はこちらだと説明しました。今は詳しくまだ話せないのですけど奇経治療に再び取り組んでいて、照海−列缺の組み合わせで行うと首の痛みが一気に半減して、腕の挙上も改善したところで本治法を行ったのですけど真打ち登場という感じでこれは回復のレベルが段違いになります。このケースですけど、これだけはっきり症状が現れているので邪気論の方が考えやすいのですけどだるいだけで痛みはないのです。触ると痛いということはあるのですけど無理矢理に邪気論へ持って行くよりも全体の流れを改善した方がいいという考えもできます。そこで井穴を摂按すると陰経で脈が浮いてきましたから、生気論で病理を絞っていこうという流れにしました。そこで肝虚陰虚証で二度治療しただけで、症状は見事に回復できました。まぁまた転倒してくるとは思いますけどね(笑い)

 

3.5 キャラクターダンサーをあきらめざるを得なくなった頸椎ヘルニア

 患者は23歳、女性。我慢に我慢を重ねても夢だった仕事を途中であきらめざるを得なくなりました。痛みがあまりにひどすぎて脊柱の側弯まで起こしていました。

 ■■二週間前から来院されています。キャラクターダンサーと聞いても最初わからなかったのですが、テーマパークで着ぐるみに入って踊る職業のことでこの場合はディズニーランドでディズニーのキャラクターとして踊っていました。ダンスの専門学校へ入ったことから普通は舞台などで踊るそうで、有名人のステージに上がったことがあるのかと聞いたなら「ゆず」と「ウルブルズ」があるそうでジャニーズはなかったそうですが、いずれも単発の仕事になるので不安定でありキャラクターとして踊るというのも夢のある仕事だということで、二年半くらいやっていたそうです。なぜ痛くなったのかとかいつ頃から痛むなど詳しいところがまだしっかり把握できていないのですけど、首が痛くて医者へ行くと頸椎症だと言われたのですがあなたの若さと程度からは手術のしようがないし、手術をするとダンスそのものができなくなってしまうということで痛みを我慢して我慢して我慢してもそれでもだめなので実家へ戻ってきたということでした。そうしたならお父さんが鍼灸院で治療を受けた経験から、すぐ受診してきなさいということでした。若い女性ですから緊張していたということはあったでしょうけど、病的な数脈にも感じます。初回ですから陽経からの治療を考えるのですけど、緊張からの数脈だけなら陽経からの治療には該当しないので難しいところです。それから脈がとても跳ねているのですけど、そうだったなら邪気論で進めたいのですけど脈だけの話ですし極度に緊張していますし自発痛からのものかも知れないということで、脈だけでは判断しきれませんでした。それから腹診をすると、内臓下垂が明白でした。内臓下垂というのは脾の昇清作用が低下していて内臓全体が下がってしまっている状態のことです。二週間前ですから「終の季」に入っていたので、腎経の湧泉と膀胱経の至陰を交互に摂按したなら至陰の方で落ち着いてしかも脈は沈みました。切り分けからだと陽経から邪気論ということになるので、内臓下垂があることから脾病であり陽経は剛柔から胆経を用いることだと絞り込めてしまいます。痛みが一番強い症状であり現在でも頭痛がしているということなので、兪穴を中心に考えていこうとすぐ決断できましたから探ってみると左足臨泣ですぐ脈診も腹診も肩上部も整ってきたので営気の手法で治療をしています。

 脊柱の側弯がなぜ発生してきているのかが小さな葫芦からのものなのか痛みを我慢してのものなのかがわかっていなかったのですけど、本治法が終わって30分後に標治法へ戻ってくると最初に診察したときよりも側弯の状態がよくなっていました。標治法を加えていくと背骨がまっすぐの方向へ伸びていくのであり、このときにはうちの奥さん(副院長)もいたのですけど目で見てわかるくらいに変化していると証言していました。二度目に来院したときにはこの側弯が見た目でわかるくらいに改善しており、自覚的にも姿勢がよくなったと話していました。まだ二度しか治療をしていないので自発痛が押さえ切れていませんし、二度目も邪気論で脾病から左足臨泣で治療をしているのですけど、痛みが消失したなら脾虚陰虚証あたりで治療をしていくものと想像しています。

 (追記)最初から週に一度ずつの治療としているのですが、三度目からは自発痛がかなり収まったものの首の痛みが十分でないということで肺虚肝実証に変わっています。痛みが劇的に減少したので本人は今度は大阪でダンサーとしての活動をしたいという希望を持っていると話していたのですけど、単に痛みが減少しただけで治療終了の期限は未定であり早くても春まではかかるだろうと釘を刺しておきました。というのは、ストレッチは許可しておいたものの勝手にダンスの基本練習をしていたようで四度目の時には背部痛がぶり返しており、身体は正直なので年内いっぱいはまだ跳んだり跳ねたりの動きは時期尚早であると再び説明しています。それから大阪から滋賀までなら通院可能なので、ダンスができるようになっても治癒宣言までは通院した方がいいとも念を押しています。

 

3.6 寝返りだけでも激痛だった首の痛みは、実は胃潰瘍だった脾虚肝実証

 患者は57歳、男性。三ヶ月前より首の痛みがあり整形外科でリハビリトレーニングや痛み止めをしてもらっても一向に回復せず、夜中は寝返りをするだけで激痛に飛び起きるようになってしまい困り果てて来院。

 ■■答えをいきなり書いてしまっていますが、「先生痛くて仕方がないなんとかなりませんか」と、あまりに痛すぎて自動車の運転もできず奥さんに送迎してもらっての来院でした。これは脈診した瞬間に胃潰瘍だとわかりました。右の関上、脾の部分に穴の開いた・脈で、ネギを押したような脈と書かれているものを触れたからです。少し話が外れますが、・脈には諸説ありネギを横にしてそれを上から押さえたという解釈と輪切りにしたネギを上から触っているという解釈、今までの経験からは輪切りにしたネギを上から触っている感じがします。脈の中央部分は空洞で脈管だけが触れるような脈状に遭遇したとき、これが脾の部位で現れていたなら潰瘍だと診断できます。現在も何人もの患者さんが来院中であり、かなり多い疾患です。昔に胃壁に穴が開いてしまったのではないかという感じで「今少し吐血をしたんだけど」と飛び込んできた人がいて、この危ない経験をしてから脾に・脈が現れていることが頭から離れなくなってそれ以後は脈診した瞬間に見抜けるようになっているのです。

 この脈状が触れられたので腹部をすぐ探ると、西洋医学的な胃の部分が痛むといいます。「実は食事をすると腹痛がするのです」と初めてこのときに申告があったのですけど、そういうことは最初から伝えてほしかったなぁというところです。

 こういう情報だと、まずは脾虚陽虚証という考えが浮かびます。でも、この場合はあまりに痛みが強いことと悪血もしっかり蓄積しています。先ほど言い忘れていたのですけど、井穴の摂按をして陰経の反応がよくて脈が沈んで邪気論で考察していこうとなったなら、左の下腹部で肝と腎の間の反応をまず確認します。この部分を少しだけ押さえて揺らします。悪血の反応というのは必ず粘りとして触知できますので、これで肝実になっているかどうかという目安をつけるようにしています。それでこの症例では痛みが強くて自発痛になっており、腹診では悪血反応もしっかり触れられて脈診でも典型的な脈型になっているということで脾虚肝実証としました。治療は左の太白に衛気の手法で、右の陽輔へ営気の手法を行っています。脈状が見事に改善できたのでなぜか自信がわいてきて、次の治療は一週間後と告げました。患者側が不安で「明日ではだめですか」ということだったのですけど、「もし痛みがあったなら」ということにしておいたなら次は一週間後に来院されました。一度の治療で痛みが解消し熟睡できるようになったということで、出張先で買ってきたというおいしいお菓子をいただいてしまいました。

 

3.7 七年間も顔面が痛む肺虚肝実証

 患者は21歳、女性。中学の最後から顔面の痛みを感じるようになったなら高校ではずっと持続するようになってしまい、あらゆる治療を受けてきたが痛みが緩和したことはなかった。顔面や口の中の持続的な強い痛みを訴える患者が増えているのですけど、治療のポイントは側頸部の強烈な硬結を緩めることですが、証決定はそれぞれに異なっています。

 ■■顔面や口の中の痛みを訴える患者さんが、今非常に多いです。昨日に来院していた中学一年生の女の子が一番下で、上は還暦を超えている人と様々ですが側頸部が関西弁で言う「かんかんに凝っている」という状態になっています。これを二木式ていしんは太いのを利用して太い側から示指をていしんより少し出すようにしてていしんが「ずぶっ」とは入らないようにして、本治法が終わったなら側頸部の強烈になっている硬結を押さえていきます。これが標治法としてのポイントになります。この患者の場合にはやはり悪血が強かったというよりも、あらゆる治療を試してきていて薬を大量に投与されており、その副作用が残っている状態からの治療開始でした。本人も薬の副作用がいやだと訴えており、それなら鍼灸はどうだろうかと親が聞いてきたことから来院しています。それで薬の副作用が強かったことから肺虚肝実証としました。もちろん井穴の摂按をして脈が沈んでおり、左下腹部には悪血反応が触知されさらに鳩尾が突き上げられてきているような突っ張った反応があり胸にまで及んでいるので、胸は熱くないかと問診すると常に苦しいということでした。それよりも何よりも、常に顔面が痛むことが苦しいということです。今は一週間に一度ずつ治療をしているのですけど、一回の治療で五日間くらいは痛みが停止できるようになっています。残り二日間が息切れのように、また痛みがぶり返してきています。途中で廃車にしなければならないほどの自損事故を起こしていて、首が余計に痛くなっていたのですけどこのときには脾虚肝実証で本治法を行い、首の矯正も加えたならむち打ちがたった一回の治療で回復しています。

 

3.8 取穴実技後に具合の悪くなった脾病

 先月の取穴実技でモデルに上がり、症状が出てしまった女性。めまい・吐き気・倦怠感などで急激に悪化していました。

 ■■これも数脈になっていたのですけど、一番迷ったのは病的な数脈なのか単純に倦怠感からの数脈だろうかということでした。突然治療をしなければならないので、邪気論なのか生気論なのかこの場合は病体に聞いた方が早いということで、ほかの診察はせずにいきなり摂按をしました。すると脈が沈んでしまいました。とにかく下から突き上がってくる感じが怖いということで、そこからめまいも発生してくると考えて「心下満」から選穴は井穴の一択で脾病として左竅陰へ営気の手法を行いました。直後は「少し楽になりました」ということでしたけど、5分後には楽になっていたということです。

 

 ということで、じっくり病理考察をしないのではありませんが切り分けができていれば病理考察が早くなり、治療へスムーズに入っていけるようになります。今は免許を持っている助手がいないのですけど、その状態で一時間に五人を治療していこうとなると病理考察の部分をできる限り短縮して的確に証を導きたいのです。それでこのような研究をしながら臨床をしているという報告でした。




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